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「木戸駅と Ⅰ」作品集刊行

皆様ご無沙汰しております。先日、7年8ヶ月続いた政権が終わりを告げ、新しい内閣が発足しました。私たちのこの「うつくしいくにのはなし」はどのような結末を迎えるのでしょうか。震災から9年6ヶ月経ちました。

 さて、このたび「木戸駅とⅠ」を、galerieH(ガルリアッシュ)での個展に合わせ上梓いたしました。この冊子は、先頃Gallery Nayutaで開催された個展に合わせて発行した「木戸駅と Ⅱ」と対になるものです。

 2013年9月のこと、友人と偶然に辿り着いた土地。目の前に開けた「美しい」風景。その場所が福島県双葉郡楢葉町前原・山田浜地区だと、後から調べて知ることとなります。楢葉町は福島第一原発の20キロ圏内にあり、当時、町内全域に避難指示が出ていました。その時に撮った1枚の写真と絵画作品とを構成し、展示したのが個展「うつくしいくにのはなし」(2014年)です。

木戸駅と Ⅰ

 2015年、楢葉町の避難指示解除に伴い、JR常磐線は震災以来不通となっていた広野~竜田駅間の運行が再開します。この美しい土地を訪ねたく、そして初めて「木戸駅」に降り立ちました。以来何度かこの場所を「行き来」しましたが、その度に思うのは「東京」(私が住む近隣県を含めた広義の東京として使っています)と「フクシマ」の非対称性であり、震災と原発事故の「外部」の者として、同時に無自覚に「福島から来る」東京電力の電気を使って来た(現在の自分は東電からは電気を買いませんが…)「当事者」として、この小さな過疎の地を通して考え続けること、そして美術家として、そのことに自覚的であり続けることについてです。「傷」や「痛み」について何度も問い直し、現在に至ります。

 今回の個展、中根秀夫展「木々と日々」では、この「木戸駅と Ⅰ」から12枚の写真を出展する他、2018年に撮影されたシリーズ「ephemeral eternal」からの大型の写真を含め、オブジェ1点を含む計26点の作品で構成する展示をご覧いただきます。コロナ禍の日常にて(「GoTo〜」等をご活用いただき?)、ぜひご高覧賜りたくお願い申し上げます。galerieHでは万全の対策を持って皆様をお迎えいたします。


中根秀夫展「木々と日々」
NAKANE hideo Solo Exhibition

2020.10.4(sun) – 2020.10.17(sat)  12:00-19:00(最終日 17:00 まで)
休廊日 : 月曜 10.5(mon) 12(mon)

galerie H(ガルリアッシュ)https://galerie-h.jp 
〒103-0024 東京都中央区日本橋小舟町7-13 東海日本橋ハイツ2F


*冊子は「木戸駅と Ⅰ」「木戸駅と Ⅱ」ともにgalerieHでお手にとってご覧になれます。今回の「木戸駅と Ⅰ」をお求めの方で、前回Gallery Nayutaで「木戸駅と Ⅱ」をお買い求めいただいている方には2冊を束ねるスリーブをご用意しています。前編・後編を共にお手元にお持ちいただければ幸いに存じます。

「木戸駅と Ⅱ」作品集販売


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