ご挨拶が大変遅くなりましたが、ギャラリーナユタで開催いたしました中根秀夫展 [Stay out, stay home]は、無事に終了いたしました。会期を通してご関心をお持ちいただきましたことを心より御礼申し上げます。また、このような折に会場までにお越し頂いきましたこと、感謝の念に堪えません。ご挨拶がかなわなかった方は失礼いたしました。

さて、[Stay out, stay home] は、総じて言えば「距離」に関する展示でした。「家に居続けること」と「家の外に居続けることは」等価でありながら、それは著しく「距離」が隔たっている。各々が、様々な場面として思い浮かべることができるはずです。
会期中にも何度か尋ねられましたが、自分は震災・原発事故の当事者ではなく、彼らの本当の痛みや悲しみは知るべくもありません。とはいえ私たちは、等しく福島に立地した「東京電力の電気」を使用してきたた当事者であり、広野にある火力発電所からは、現在に至るまで東京に向けて電気を送り続けているのです。
最初に自分が福島県双葉郡楢葉町にある、この美しい風景を湛える前原・山田浜地区に降り立ったのは、2013年9月1日ことでした。そのちょうど1週間後、9月8日に2020年のオリンピック開催都市が東京に決まったのです。復興五輪、アンダー・コントロール。どこまでも軽い言葉と引き換えに。でも考えてもみてください。10年経った今でもPTSDを抱えている方は少なからずおられます。
では自分はどうなのか。他者の悲しみに寄り添うことの不可能性について。
Stay out, stay home
英国海峡の方から吹き寄せられた雲が
「冬が来る」ジュール・ラフォルグ (吉田健一 訳)
私達の最後の日曜日を台なしにしてしまった。
▶︎HPを更新しました。是非ご覧ください。
https://hideonakane.com/works/2021SS.html
▷早見堯さんのテキストはこちら。
https://hideonakane.com/text/2021SOSH_hayami.html
▷ギャラリーナユタのオンラインショップはこちら。
https://www.gallerynayuta.com/2021/08/04/online-gallery-shop-hideo-nakane-stay-out-stay-home/