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木戸駅と

#KidoStation 2019.1206.15:37

 2011年の東日本大震災および福島第一原発の事故から9年が経過しました。自分自身は福島と関わりを持つ者ではなく、そして、その時初めて「東京近隣の電気が福島の原子力発電所から来ている」という事実を知ることとなりました(現在も東京電力広野火力発電所から電気は送られて来ます)。

 2013年9月のことですが、友人とともに福島県立美術館に「東日本大震災復興支援」と銘打たれた展覧会、プライスコレクション「若冲が来てくれました」を見に行きました。ふと「原発の状況を見てみよう」という話になり、一旦いわきまで戻り、そこから「浜通り」国道6号線を車で北上。おそらく富岡あたりだと推測しますが、線量計の警報音に促されその場から引き返しました。しばらく車を走らせアラートが鳴り止んだところで6号線から海側に降り、辿り着いた土地。目の前に開けた「美しい」風景。

 その場所が福島県双葉郡楢葉町前原・山田浜地区だと、後から調べて知ることとなります。楢葉町は福島第一原発の20キロ圏内にあり、当時、町内全域に避難指示が出ていました。その時に撮った1枚の写真と絵画作品とを構成し展示したのが個展「うつくしいくにのはなし- a tale of a beautiful country」(2014年)です。

a tale of a beautiful country

 2015年、楢葉町の避難指示解除に伴い、JR常磐線は震災以来不通となっていた広野~竜田駅間の運行が再開します。この美しい土地を訪ねたく、そして初めて「木戸駅」に降り立ちました。以来何度かこの場所を「行き来」しましたが、その度に思うのは「東京」(私が住む近隣県を含めた広義の東京として使っています)と「フクシマ」の非対称性であり、震災と原発事故の「外部」の者として、同時に無自覚に「福島から来る」東京電力の電気を使って来た(現在は東電からは電気を買いませんが…)「当事者」として、この小さな過疎の地を通して考え続けること、そして美術家として、そのことに自覚的であり続けることについてです。「傷」や「痛み」について何度も問い直し、現在に至ります。

 今回の個展『中根秀夫展「木戸駅と」#KidoStation』では、去年(2019年)の7月と12月の計3日間に撮影された写真から12点を選んで展示します。「写真展」として「福島」に取り組むのは今回が初めての機会となります。何卒ご高覧頂きますようよろしくお願い申し上げます。

 先日、7月24日から開始する展示の搬入・設置を済ませました。新型ウイルスへの十分な対策の上、皆様のお越しをお持ちいたします。水曜・木曜は休廊です。また、御来廊の際はギャラリーのサイトまたは私のHPで開催状況をご確認くださいますよう重ねてお願い申し上げます。


▶︎「木戸駅と Ⅱ」作品集の販売


中根秀夫展「木戸駅と」
Hideo Nakane Exhibition [#KidoStation ] 

2020.  7.24 (Fri) – 8.9 (Sun)    水曜・木曜 休廊    
12:00 – 19:00   Lastday – 17:00   Wednesdays&Thursdays|Closed

Gallery Nayuta
〒104-0061 東京都中央区銀座1-9-8  奥野ビル 511
https://www.gallerynayuta.com/2020/06/15/中根秀夫展-木戸駅と/


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