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Unit 1(もう一度秋を ) 中根秀夫@青山茶舗

明日11日が搬入・設置です。今回は12点(組)出品し、新作は「小さな花」の写真と「鏡」の作品、それから8分間の映像作品、それ以外は旧作を組み合わせて展示します。過去の時間と向き合うことで、少し抽象的な言い方ですが、それぞれの幅を持つ時間を乱反射させながら、そこに光を集めてみたいと思っています。同時に少し先の未来の時間をその光の溜まりに滑り込ませること可能性を、江戸末期から150年この浦和の地に建つ青山茶舗という空間で探ってみようと思います。

実は去年の夏から映像作品に取り組んでいます。それは詩人の武田さんとサックスのかみむらさんとの3人のプロジェクトで、10月の展覧会のために、全部で21編からなる詩(基本的に恋愛の詩ですね)を四季を巡るように組み立てられた5つのユニット解釈するという壮大な計画なのです。過ぎ去った季節については後からの撮り直しがきかないという制約の中で。現在のところ「秋」のユニット(5編の詩)ひとつだけ完成していて、それを前倒して今回展示します。現在から見た過去ではなくて、未来から見た過去のこと。あるいはそれを同時に見ること。

予想がつかない、そしてそれを手にした時にはすでに後戻りができない未来。果たしてそこで何に出会いそこから何を得るのか。少しづつ立ち位置を前後にずらしながら想像してみます。それが当たり前の流れの中の時間であるはずなのに…。半年先の世界はどうなっているのか、いやそれよりも自分自身の明日すらおぼつかないという状況に於いてさえ、およそアーティスト(もちろん音楽やその他表現に関わる人という意味です)として生きる者が、この場所に立ち「希望」というものを語らずにいるとしたなら、誰が時計の針を前に進めることができるのか。

以下は今回の展示のステイトメントです。

a. 多様な現実を抱える社会の中で、いかに過去や未来と向き合い、そしていかにしてこの社会に対し思考を超えて接触を図るのか。エステティックな日常を自らの手で捉え、その悦びを他者と共にする世界を築くこと。それはこの世界に生き延びることを可能とするだろう。

b. 紙やガラスの表面を伝う水滴はその境界をなぞる。そこに時間や記憶の傷跡を見る。

a. In a society embracing various realities, how could we face our past and future, and then, make our post-cogitative contact with that society? How could we acquire an aesthetic life made by our own hands, establish a world in which to share its pleasure with others, one that would enable us to survive that world?

b. Water dripping through the surface onto paper or glass traces the edge where we see a scar of time and memory.

会場での映像は音声無しで、それからあえてフラットではない壁面に向けて映写します。それは築150年の建物の中でちょっと違った不思議な見え方がします。どうぞご期待下さい。武田さんの詩の朗読を含んだオリジナルはこちら。

[vimeo id=”148336760″]

もう一度秋を Unit 1 / 2015 (Video 08.02)

Hideo Nakane / Taeko Takeda(詩)
1-1. 版画論(3)風景
1-2. 1日の千の秋
1-3. 掌の森(Ⅱ)森の椅子
1-4. 予め失われた恋人たち

関連リンク

会場|青山茶舗 map⑥

さいたま市浦和区岸町4-25-12 tel.048-822-2953
JR浦和駅西口より 旧中山道沿いに徒歩8分

会期|3月12日(土)~3月21日(月)

*16日(水)はお休みです。

時間|11:00~19:00



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