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『もういちど秋を』コラボレーションについて

10月17日より始まる『もういちど秋を』展で、武田多恵子(詩)/ かみむら泰一(Sax)/ 中根秀夫(映像)によるコラボレーションが始まった経緯について、少しお話しします。

かみむらさんと初めて一緒に仕事をしたのは2012年の個展『鏡の中の』展の時のことで、かみむらさんのサックスでの即興演奏の録音をもとに、展示会場のインスタレーションと過去の写真作品、それに幾つかの動画イメージを加えて『Mellow Yellow in the Mirror』という映像作品を作りました。

[arve url=”https://vimeo.com/53926845″]

そもそもは、個展の初日に来てくれた友達の池内さんが「うちのダンナは作品の空間で演奏するよ」という話をしてくれたのがきっかけで(もちろんその「ダンナ」がかみむらさん)、そこからバタバタと物事が動き出しました。自分はどちらかというと自己完結型の人間なので、それまで自分の作品や展示で他の人とコラボ的なことは試みたことがありませんでした。そもそも少し前にはコラボレーション「流行り」があり、そのこと自体あまり良いとは思っていなかったのですが。

ただ、2011年の震災と原発事故以降、物事に対するアプローチを少し変えてみたいという意識はありました。それは(多くの創作に携わる人と同じだったのかもしれませんが)、私たちの日常にあまりにも大きくのしかかる不条理に対し、ものを作ることの意義に懐疑的になり、作品を制作できない日々が続いていたことと関係があるかもしれません。異なる環境で創作活動を続けている人と共有したい「何か」があったのだろうと、今はそのように思います。

かみむらさんの演奏自体は素晴らしいものでしたが、それは会期の始まった後に急に決まったことなので、もちろん告知など間に合うはずもなく、その時に画廊に訪れた人は3人だけ。それも、ひとりは画廊のオーナーに用があって来た人、もうひとりは途中から来て程なく帰って行きました。さて、残りのひとり、それが今回の『もういちど秋を』展のプロジェクトの呼びかけ人である武田多恵子さん、その人なのです。私もかみむらさんも武田さんとお会いしたのはその時が初めてで、演奏後3人で少しお話をし共通の友人を確認したぐらいの感じでした。

その年(2012年)の10月には、かみむらさんとの映像作品『Mellow Yellow in the Mirror』が完成したのですが、ふと、その即興ライブの「たったひとりの目撃者」である武田さんに連絡を取ってみようと思いたち、共通の友人を頼りになんとかお礼の手紙と完成した映像を送り届けました。

かみむらさんとのコラボレーションはその後2回続き、2014年にそれらのプロジェクト『Mellow Yellow Project』を1枚のDVDにまとめました。

『Mellow Yellow Project』DVDについて

https://side-b.hideonakane.com/side-b/2015/05/31/dvd-video-mellow-yellow-project-2/

『Mellow Yellow Project』ホームページ

http://hideonakane.com/works/2013MYP.html

そしてさらにその1年後、去年2015年の夏のことですが、思いがけず武田さんから新しい3人によるコラボレーションへのお誘いがかかり、そして1年間をかけて作る映像作品のプロジェクトが始まりました。そして今、3人が初めて出会った日から4年目を迎えるに至ります。『もういちど秋を』展のホームページには、武田さんによるちょっと刺激的な「挨拶」がありますが、つまり、言葉にすると「少し長い話」が私たちの間にはあったりするのです。

それでは『もういちど秋を』展をよろしくお願いします。

『もういちど秋を… -try to remember』展ホームページ

http://hideonakane.com/info/Autumn2016.html


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