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[Stay out, stay home] 終わりました

ご挨拶が大変遅くなりましたが、ギャラリーナユタで開催いたしました中根秀夫展 [Stay out, stay home]は、無事に終了いたしました。会期を通してご関心をお持ちいただきましたことを心より御礼申し上げます。また、このような折に会場までにお越し頂いきましたこと、感謝の念に堪えません。ご挨拶がかなわなかった方は失礼いたしました。

2021-02-20 06:07

さて、[Stay out, stay home] は、総じて言えば「距離」に関する展示でした。「家に居続けること」と「家の外に居続けることは」等価でありながら、それは著しく「距離」が隔たっている。各々が、様々な場面として思い浮かべることができるはずです。

会期中にも何度か尋ねられましたが、自分は震災・原発事故の当事者ではなく、彼らの本当の痛みや悲しみは知るべくもありません。とはいえ私たちは、等しく福島に立地した「東京電力の電気」を使用してきたた当事者であり、広野にある火力発電所からは、現在に至るまで東京に向けて電気を送り続けているのです。

最初に自分が福島県双葉郡楢葉町にある、この美しい風景を湛える前原・山田浜地区に降り立ったのは、2013年9月1日ことでした。そのちょうど1週間後、9月8日に2020年のオリンピック開催都市が東京に決まったのです。復興五輪、アンダー・コントロール。どこまでも軽い言葉と引き換えに。でも考えてもみてください。10年経った今でもPTSDを抱えている方は少なからずおられます。

では自分はどうなのか。他者の悲しみに寄り添うことの不可能性について。

Stay out, stay home

英国海峡の方から吹き寄せられた雲が
私達の最後の日曜日を台なしにしてしまった。

「冬が来る」ジュール・ラフォルグ (吉田健一 訳)

▶︎HPを更新しました。是非ご覧ください。

https://hideonakane.com/works/2021SS.html

▷早見堯さんのテキストはこちら。

https://hideonakane.com/text/2021SOSH_hayami.html

▷ギャラリーナユタのオンラインショップはこちら。

https://www.gallerynayuta.com/2021/08/04/online-gallery-shop-hideo-nakane-stay-out-stay-home/

[Stay out, stay home]イメージビデオ

中根秀夫展[Stay out, stay home] 展示風景のイメージビデオを公開しました。展覧会は8/9(月・祝)まで。

Hideo Nakane | Stay out, stay home

@ギャラリーナユタ
2021.7.22(Thu)-8.9(Mon)   水曜休
12:00 – 19:00   (最終日は 17:00まで)

2週目 中根秀夫展 [Stay out, stay home]

2週目に入りました。会場風景をお届けします。

中根秀夫展 [Stay out, stay home]
2021-02-20 06:07
2021-02-19 16:53

オレガノ・ケントビューティーは展示替え。8月3日までの組み合わせ。

7/29~8/3

こちらが先週までの展示。

7/22~7/27

@ギャラリーナユタ
2021.7.22(Thu)-8.9(Mon)   水曜休
12:00 – 19:00   (最終日は 17:00まで)

中根秀夫展 [Stay out, stay home]

7月22日(祝・木)より、銀座のギャラリーナユタにて中根秀夫展 [Stay out, stay home]を開催いたします。昨年に引き続き、ついにはオリンピックイヤーとなりました本年も、東京の小さなギャラリーからその祝祭に合わせ作品をお届けします。本展覧会開催に際し、美術評論家の早見堯氏に流麗な作品論「漂う, 溶ける」をご執筆頂きました。案内状(pdf)、あるいはテキストをぜひご一読頂ければと存じます。

新型ウィルスへの十分な対策の上、皆さまのお越しをお持ち申し上げております。なお東京都の感染者数の増加については予断を許さないところであります。御来廊の際はギャラリーのサイトをご確認くださいますようお願い申し上げます。

また、昨年のナユタでの展示とガルリ・アッシュでの展示に合わせて刊行した写真集「木戸駅と」は、会期中にお手に取ってご覧いただけます。写真集はこちらのリンクでも通販可能です。


中根秀夫展 [Stay out, stay home]

この展覧会は、昨年開催された「木戸駅と – #KidoStation」の続編である。東日本大震災そして原発事故から10年を迎える福島の、常磐線の小さな駅を再び訪ねた。巨大堤防を臨む山田浜海岸で撮影した写真から2点、そして自宅のベランダで咲く、真夏のこの季節の小さな花、オレガノ・ケントビューティーの写真を8点、計10点を展示する(会期中展示替えあり)。


@ギャラリーナユタ
2021.7.22(Thu)-8.9(Mon)   水曜休
12:00 – 19:00   (最終日は 17:00まで)

2017-07-11_1

英国海峡の方から吹き寄せられた雲が
私達の最後の日曜日を台なしにしてしまった。

「冬が来る」ジュール・ラフォルグ (吉田健一 訳)

0.

2011年3月11日(金)。東日本を襲った震度6強の地震の直後、10メートルを超える巨大津波が海沿いの住居と農地を押し流した。

その日は関東地方でも大きな揺れがあった。電車の運行は止まり、多くの人が都心の勤務先から幹線道路沿いに歩いて帰途に着いた。テレビでは東北を襲った地震と津波の映像を繰り返し報じた。翌12日土曜日午後3時36分、第一原発1号機の原子炉建屋は水素爆発で大破した。

福島第一原子力発電所から南に約18キロの距離にある前原・山田浜地区では、津波の後始末をする間もなく避難を命じられ、その後の立ち入りは厳しく制限された。

続きはこちらから

2021-02-19


#rosemary

#ちいさなくに

rosemary

去年の段階で、自分は「東京オリンピック2020」の代替案を持っていて、それは何人かの友達に話したし、あるいはSNSでも書いたかもしれない。「オリンピックは中止し、代わりに同時期にパラリンピックのみを開催する」というものである。テレビの放送枠を全て使ってパラリンピックを放映する。今までほとんど目にすることがなかったパラ競技が、連日連夜テレビで流れる。きっとみんな見ると思う。パラリンピックが新聞の一面に載る。SNSを彩る。

オリンピックとパラリンピックの実行委員会が協力しあい、国と東京都が手を取り合い、1年間かけて、皆で心を尽くし知恵を尽くせばこのコロナ禍でも必ず実現できる。街も全てバリアフリーにする。オリンピック出場が決まっていた日本選手団にはボランティアに回ってもらおう。何しろ彼らはスポーツを熟知している。もちろん体力もある。ワクチンも打ってもらおう。スポーツ選手の目線からパラリンピックを考えるのは彼らにとっても有意義だろう。海外選手との交流も得意だ。苦しみに耐える飲食業の方も「それならば協力しよう」と思うかもしれない。もちろん補償をしよう。お店を閉じている間バリアフリーに改装し国はそれに補助金を出す。オリンピック反対派だって力を貸してくれるかも。意見がどんどんと出されパラリンピックにますます豊かな実りをもたらすだろう。

たとえそれが無観客になっても、ボランテイアをしたオリンピック選手らには応援に行ってもらおう。酷暑のコロナ禍に小中学生を駆り出すのではなく。オリンピアンが自分のSNSで呟けば、多くの人にパラスポーツそしてスポーツ全体の意義が伝わるだろう。それはオリンピック憲章にもかなうはずだ。テレビの視聴率は上がり、スポンサーも喜ぶだろう。「ああ、パラリンピックにして良かったな」と自らの協賛を誇りに思うだろう。海外のメディアも注目し日本の評価は上がるだろう。「日本はオリンピックは開催できなかったが、それ以上に素晴らしい祭典を演出した」。ガーディアンもワシントンポストも絶賛すれば内閣の支持率も爆上がりだ。

でもまあ、そんなことは決して起こらなかったし、残念ながら今の日本には所詮無理な話である。先日の音楽家とパラリンピック実行委員会の対応を見て本当にゲンナリした。さようなら私のニッポン。うつくしいくに。