29 Dec. 2016

気が向けば誰かに書くためのカードをこの時期に作る。

今年1年は映画も展覧会も結構な数を見たが、まあ、良い塩梅に忘れてしまっている(ライブにはほとんど行けなくて残念だったけれど)。映画は基本的に映画館でしか見ないけれど、『ベルリン・天使の詩』というヴィム・ヴェンダースの映画が好きでDVDを繰り返し見ている(おそらく100回以上は…昨日も一昨日も見てしまった)。ベルリンの壁が崩壊する前年1988年に公開された映画。

天使は永遠を生き、人々の言葉を集め、歴史を記述し続けるのが仕事だ。天使には個人的な「時間」や「感覚」の概念は無い。子供の頃の記憶は人間だけが持つもので、つまりそれは人間としての時間、それに加えて人間としての感覚と結びついて想起される現象だということになる。

子供が 子供だった頃
ストックを槍に見立て
木に向かって 投げつけた
槍は 今もまだ其処で揺れている
(ペーター・ハントケ)

天使ダミエルは壁の街ベルリンでサーカスの女マリオンに一目惚れをする。天使の羽根を纏った空中ブランコ乗り。ダミエルは、霊としての自らの存在を放棄することを決意し、壁の西側、ヴァルデマール通りで「人間」として目覚める。「感覚」というのは例えば色彩のことで、新たな生を携え歩き始めたダミエルは、壁に描かれたグラフィティを、その時初めて、文字通り体験した。ブルーグレー/ライラック/オーカー/赤/緑/青…。初めて目の前に広がる色彩。これこそ人間としての感覚、そして、官能の始まり。

翼を失ったダミエルは「新月の夜」にマリオンと出会う(あるいは再会とも)。明日12月29日は「新月」。

 


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