『もういちど秋を』Unit 2

『もういちど秋を』「Unit 2」

『もういちど秋を』は、武田多恵子の3つの詩集「麦の耳」(1986年)「流布」(1993年)「蜜月」(2013年)から20編の詩を抜粋し、1年の季節を巡るように5つのユニットに仕分け、「もういちど秋を」という序章を加えて再構成されたひとつの映像詩である。武田の詩にサックス奏者かみむら泰一が音楽を中根秀夫が映像を担当し1年間をかけて制作され、10月の展覧会で公開する。

ひとつの詩はひとつの時間を孕みながら、他のもうひとつの詩とその時間に接続する。詩の中の時間はそれぞれの記憶を持ち、その記憶はひとつの詩という枠を超え、過去とも未来とも自由に接続することが出来る。ひとりの作者の記憶はもうひとりの者の記憶へと接続され、その記憶はさらにまたひとりの別の記憶とつなぎ合わされる。そのようにして、記憶は少しづつそのポジションを変えながら私たちの空間を拡張し、またそれを満たしていくのだ。

「Unit 2」は物語の展開の場面でもあり、急激に速度を増しながら流れていく章でもある。武田の詩について全てを理解できているわけではないし、それは無論不可能だろうし、だが映像に於いてその解釈されない部分を解釈されないまま残すのは、ある意味では見る者にとっての自由が残されているわけで、見る者の記憶がそれを補うだろうと思っている。あるいは未解釈とされた部分は別のユニットに接続された時にまた再び語り始めることもあるだろう。

『もういちど秋を』は、各ユニットごとに3人のアプローチの配分を変えて作られている。この「Unit 2」の場合は、初めに中根(映像)/武田(詩)で作った「原型」に対してかみむらが「音」を重ねるという手順で作られている。映像にいくつものレイヤーを重ねて作られた美しい音の連なりがこのユニットの聴きどころであり見どころであると思う。最後に、戻ってきた音源(読み上げられる詩の「音」とかみむらの「音」)が映像の中で定位するようにカットごとの切り替えのタイミングを微調整するのだが、その作業には結局丸々三日もかかってしまった。

8分40秒。ゆっくりとご覧頂ければと思う。

Video Thumbnail
unit 2

もういちど秋を try to remember – unit 2
2-1. 四月の魚
2-2. 劣情No.5 – 猫に
2-3. 接吻試論
2-4. 真夜中の動物園
2-5. 函

武田多恵子「流布」より

Taeko Takeda (words), Taiichi Kamimura (saxophone), Hideo Nakane (video)


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