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デモにて15

結局、自民党総裁選は野田氏は不出馬により安倍首相の無投票再選。野党無視の騙し打ちで強行した安保法案採決の日程は右往左往。初めは15日に中央公聴会を開催し翌16日の特別委員会で採決、同日中に参議院本会議で可決の予定が検討され、一方で60日ルールの再検討の話も。だが、一度は取りやめた地方公聴会は16日に新横浜で行われる運びとなる、まさに朝令暮改。採決は1日延びて17日か(ちなみに17日は特別委員会の定例日ではないので18日の可能性もある)。やはりデモによる世論の動きが政局に影響を与えているのは確実だが、政権は連休前までに型をつけたいと考えており、一方の野党は内閣不信任決議案や首相問責決議案で対抗する。ところで、中央公聴会の「公述人」の公募には95人(この10年間の公聴会の公述人の応募最多数は17人)。その95人全員が法案に反対という前代未聞。今日は9月11日。私たちは9.11から何を学んだのか。


9月11日(金) 戦争法案に反対する国会前抗議行動


9月からは本格的に仕事が再開し、20時を過ぎて国会前に到着。昨日と今日は「総がかり行動」との合同デモで、参加者数も多かったが(主催者発表で1万人)、それにも増して警察の規制は厳しくなっていた。意味もなく桜田門駅の1番出口を封鎖している。8.30で決壊した国会前の車道には2段階で鉄作が置かれ、おびただしい数の警官が配置されていた。

注目すべきニュースは台風18号による大雨被害で消防とともに活躍する自衛隊の災害救助活動の姿。その自衛隊の役割が今問われている。

集団的自衛権行使を認める安保関連法案は、これまでも歴代の内閣法制局長や大多数の憲法学者によって「違憲」と指摘されて来ているが、先日「憲法の番人」である元最高裁判所長官山口繁氏も安保関連法案に対し「違憲」の判断を示した。しかし憲法判断も国民の意思もそっちのけで、週明けにはその法案が強行採決されようとしている。

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T-ns SOWLメンバー・あいねさんスピーチ

「私たちはまだ十何年しか生きていません。あと70年近く、日本で平和に生きたいんです。今もそうですが、未来のことを考えると、この法案は恐怖でしかありません。私たちは国民の意思を無視する首相に、この国の未来など任せられません。日本が本当の民主主義国家ならば、私たちの声が反映されるはずです。だから、私たちはまだまだ声を上げていきます。安保法案が強行採決されようと関係ありません。」


9月8日公示の自民党総裁選は無投票で安倍首相の再選となったが、その結果を受け、彼の悲願である「憲法改正」に歩みを進めることを公言した。彼が目指す憲法の形は2012年に提出された自民党の「憲法改正案」(現憲法との対照表)で詳らかになっているが、当然ながら今回の戦争法案における解釈改憲はその先の「憲法改正」に向けた布石となる。政権自らが課す立憲主義への脅威、そして戦後70年間守り続けた平和主義への暴挙に、最大の危機感を持って対抗すべきであろう。SEALDsのコールにも「憲法守れ!」というのがある。


自民党の考える「新憲法」では、9条1項の「戦争の放棄」について、

「国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。」

とした上で(現憲法では「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」となっている。似ているようでまったく違う)、

2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

と追記し、この改正が個別的および集団的自衛権の行使を視野に入れたものであることが読み取れる。そして現行の「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」の代わりに

第九条の二 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

とし「軍隊の保有」を憲法で正式に認めることとなる。もちろん今回の安保法案に賛成する者はここに至る道筋を描いているわけだ。憲法改正の手続きを踏まずに憲法解釈を変え、後に実態に合わせて憲法を改正する算段だ。

しかし、今は安全保障の問題に対しての不安や若干の「アベノミクス」への期待感によって「暫定的に」安保法案に「賛成」している人も含めた「私たち」にとっての本当の危機は、これら「憲法改正」への総体が、先の戦争を賛美し戦前・戦中の国家体制を肯定する「国家神道」の理念に基づいた強力な政治結社の影響下にある閣僚や国会議員たちの手によって進められているというところにある。

本来ならばこの改正案全文を一語づつ精査する必要があるが、国民の自由を権利について書かれた以下の条文は特に注目しておきたい。例えば「表現の自由」について述べた第二十一条に追加された

2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社をすることは、認められない。

仮に政府が公益及び公の秩序を害することを目的であると判断すれば、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する」という条文はなし崩しになり、言論の自由は弾圧され、当然現在行われている国会前デモやその団体なども取り締まりの対象となる可能性がある。

また第二十六条の「教育に関する権利及び義務等」の条文に追加された

3 国は、教育が国の未来を切り拓ひらく上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。

は国による教育への干渉を正当化する根拠になりうる。

第九十八条、第九十九条には日本国憲法には無い緊急事態という項目を創設した。

第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。(中略)

第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。(中略)
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。(中略)

ここで日本が戦争や紛争の当事国となった場合、時の内閣が法律と同一の効力を有する政令を制定可能で、国民はそれに基づく指示に従わなければならないとされる。発動の対象には内乱も含まれ、国内で大規模な反政府デモが起きた時でさえこの条項は効力を持つことになる。これはまさに戦前の国家体制にまで真っ逆さまに落ちてゆくことに他ならない。ここまで言ってもまだ、戦争法案に賛成できるのだろうか。

再度、SEALDsの新コール。「賛成議員は落選させよう!」

参考:戦前回帰 山崎雅弘著


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